心筋梗塞の救命率と予後を決定づけるのは、発症から冠動脈の血流を再開させるまでの時間(Door-to-Balloon時間)です。心筋組織は、血流が遮断されてから2時間を経過すると急速に不可逆的な壊死へと向かいます。心電図の異常を早期に捉え、迅速なカテーテル治療へ繋ぐための判断基準を明確にしておく必要があります。
救急車(119番)を迷わず呼ぶべき具体的な危険条件は以下の通りです。
「突然始まった胸の中央やみぞおちの圧迫感・絞扼感が15分以上続く」「冷や汗、強い吐き気、息苦しさを伴っている」「痛みが左肩、首、顎、背中へと広がっている」――これらのサインが1つでも該当する場合、自家用車やタクシーでの通院ではなく、直ちに119番通報を行ってください。救急車内には心電図伝送システムや自動体外式除細動器(AED)が備わっており、搬送中から専門病院のカテーテル治療チームと連携が取れるためです。
逆に、「指先で一点をピンポイントで指せるチクチクした針で刺すような痛み」や「深呼吸や体位を変えた瞬間だけ痛む」「数秒で完全に消失する」といった症状は、肋間神経痛や筋肉・骨格系の痛みの可能性が高いと判断されます。ただし、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙歴などの動脈硬化リスクを抱えている方は、少しでも違和感を覚えたら自己判断せず、速やかに循環器専門医の元で12誘導心電図検査を受けることが賢明です。