机の天板裏にフレームが通っていたり、厚みが足りなかったりする際、DIY掲示板やSNSで最も手軽な解決策として推奨されているのが「モニターアーム木片かませる」という裏ワザです。ホームセンターや100円ショップで端材を購入し、フレームの厚みと同じ高さの木片をクランプの間に挟み込んで面を平らに合わせる手法ですが、ここには見過ごされがちな重大な安全上の盲点が存在します。
最大の落とし穴は、使用する木材の材質選定です。100円ショップや安価な工作コーナーで売られているファルカタ材や桐、柔らかいSPF(スプルース・パイン・ファー)材などの軟質木材は、締め付けトルクに対して極めて脆く、アームの締め付けネジを締め込むと木肉がめり込んで簡単に潰れてしまいます。初期設置時には強固に固定されたように見えても、日々の振動やモニター操作の荷重によって木材の繊維が徐々に圧縮され、数週間から数ヶ月の間にクランプに深刻な緩みが生じるのです。
緩んだ状態でモニターを動かせば、テコの原理で木片が一気に脱落し、ディスプレイ全体が前方に滑落する事故を引き起こします。木片を用いる場合は、必ずオークやブナ、アッシュ、硬質合板(バーチ合板など)の堅木を選定し、クランプ金具の接地面積よりも一回り大きなサイズを確保しなければなりません。さらに、木片と天板・フレームの接触面には厚さ1mm程度の硬質ゴムシートや滑り止めシートを挟み、水平方向への滑脱を物理的に防止する摩擦力を確保することが絶対条件です。
もう一つのネット上の危険な誤解が「補強プレートを敷けばガラス天板でもアームが付けられる」という言説です。市販のモニターアーム補強プレートは、スチールやアルミ製で荷重を分散させる効果がありますが、ガラスという素材は局所的なたわみや「ねじれ」に対して許容度がほぼゼロです。金属プレートを介していても、プレートの端部が支点となってガラス表面に高圧なエッジ荷重がかかり、何の前触れもなく爆発するように破断します。ガラス天板へのクランプ設置は、どのようなアクセサリーを用いてもプロの視点からは一切容認できません。