スタート地点における秩序と安全を統括しているのが、JRAの厳格な資格審査を通過した競馬の発走委員(スターター)です。発走タワーと呼ばれる高い台の上に立ち、双眼鏡と肉眼で全出走馬の様子を一頭ずつ観察します。
ゲート後方には多数の競馬ゲート係員(発走補助員)が配置されており、枠入りを嫌がる気性の荒い馬を宥め、迅速にゲート内へ誘導します。全馬が枠に入り、前を向いて態勢が整った瞬間、最後尾の係員が頭上高く白旗を掲げます。これによってスターターに「準備完了」が伝達されます。
スターターは白旗を確認し、馬がゲート内で立ち上がったり突進したりする気配がない一瞬の静寂(0コンマ数秒の間隙)を見極めてゲート開扉レバーを引きます。そして、正常に全馬が飛び出したことを確認すると、前方200メートル地点の係員が真正な発走を示す白旗合図を提示し、レースが正式に成立します。これら一連の流れは一切の無線ラグを排除した、熟練職員たちの研ぎ澄まされた視覚連携によって成立しています。