ネット上のQ&AコミュニティやSNSでは、「猫の目の上はみんな薄いから放置して大丈夫」「換毛期の一過性の抜け毛にすぎない」といった書き込みが散見されます。しかし、これらの言説を鵜呑みにして病気の初期兆候を見過ごしてしまうケースが後を絶ちません。
正常な耳前脱毛と病的な脱毛を分ける決定的な境界線は「皮膚組織の炎症」と「掻爬(そうは)行動の有無」です。地肌が見えているだけでなく、以下の3つのシグナルのうち1つでも確認できる場合は、生理現象ではなく疾患と判断しなければなりません。
1. 地肌の明らかな赤み・紅斑
健康な地肌は淡いピンク色または皮膚の色相を保っています。しかし、毛細血管が拡張して鮮紅色に変色している場合、猫のアレルギー性皮膚炎の症状や接触性皮膚炎が疑われます。特に目の周りは皮膚が薄くデリケートなため、アレルギー反応が最も強く出やすいホットスポットの一つです。
2. 執拗に後足で掻く・前足でこする仕草
猫が後ろ足で頻繁に目の上を激しく掻いたり、前足の側面を濡らして顔面を過剰にこすりつける行動は、激しい掻痒感(かゆみ)の証拠です。猫が疥癬にかかった際の症状では、夜も眠れなくなるほどの強烈な痒みが生じます。放置すると自らの爪で角膜を傷つけ、失明を招く角膜潰瘍やブドウ膜炎を併発するリスクすらあります。
3. かさぶた・フケ・分泌物の付着
薄毛の部分にポツポツとした血豆状のかさぶたや、黄色っぽいフケ、ベタつく滲出液が付着している場合、細菌感染(膿皮症)や猫の皮膚糸状菌症が目の周りに拡大している可能性が極めて濃厚です。真菌感染は初期には円形に毛が抜け落ち、徐々に病変部が拡大していく進行性の性質を持っています。