華々しい現役生活も、土俵の神様に別れを告げる日は必ず訪れます。怪我や体力の限界によって引退を決断した際、力士たちを支えるのが関取の退職金相場(養老金・退職金制度)です。
日本相撲協会には、関取として務めた場所数や最高位に応じて支給される「養老金」や「特別功労金」の制度が存在します。退職金の額は地位と在位期間に完全に比例します。
- 十両を数場所務めて引退:数百万円程度
- 幕内中堅として10年近く務めた力士:1,500万〜2,500万円程度
- 大関・横綱として一時代を築いた力士:養老金と功労金を合わせて5,000万円〜1億円超
しかし、ここにも相撲界の厳格な掟が横たわっています。現役晩年に怪我などで十両から幕下へ転落し、幕下の地位のまま引退届を提出した場合、退職金の算定基準が大幅に引き下げられるリスクがあります。そのため、関取経験者は「関取の地位にあるうちに引退するか、プライドを捨てて泥臭く土俵に上がり続けるか」という苦渋の決断を迫られます。
さらに、引退後に日本相撲協会に「親方(年寄)」として残るためには、定数105名と厳格に定められた「年寄名跡(親方株)」を取得していなければなりません。年寄名跡の継承には数億円規模の金銭が動くとも言われており、現役時代にどれほど高給を稼ぎ出しても、その大半を名跡取得や引退相撲(断髪式)の準備に充てる力士も少なくありません。