こうした井口の破天荒な言動に対して、King Gnuのリーダーである常田大希をはじめとするバンドメンバーたちは、呆れつつも温かい眼差しを向け続けてきた。常田は井口の圧倒的な声楽的センスと歌唱力を誰よりも評価しており、その人間的な歪みや面白さを含めて「井口理」というアーティストの魅力として受け止めている。
クリーンなイメージ戦略が先行しがちな日本の音楽業界において、井口の存在は明らかに異端だ。だが、東京藝術大学出身という確かな技術的バックボーンを持ちながら、市井の泥臭い感情や欲求を隠さない彼の佇まいは、バンドの楽曲が持つ毒と華やかさを絶妙なバランスで引き立てている。