香川県高松市と聞けば、誰もが透き通った出汁とコシの強い麺を連想する。だが、その常識は日暮れとともに塗り替えられる。地元住民が「日常の燃料」として、あるいは遠方からの旅人が「禁断の夜食」として求めるのは、うどんではなく猛烈なパンチ力を持つ一杯の丼だ。
讃岐うどん文化が根付くこの街で、真逆のベクトルを走るご当地グルメとして確固たる地位を築いたのが、香川の知られざる肉文化である。うどん屋が早々に店を閉める夕暮れ以降、街の胃袋を一手に引き受けてきた歴史がここにはある。繊細な出汁文化の裏側で育まれた、濃厚かつ中毒性の高いB級グルメの系譜。その頂点に君臨し続けているのが、この場所なのだ。