「宮崎地鶏炭火焼きの歴史と経緯」を遡ると、昭和中期の宮崎県南西部(都城市や小林市周辺)の農村地帯に辿り着きます。かつて農家で飼育されていた地鶏や、役目を終えた採卵用の親鶏(廃鶏)を家庭で捌き、庭先で炭火を使って塩焼きにして振る舞ったのが発祥とされています。当時の肉は硬質で非常に歯ごたえがありましたが、噛めば噛むほどに濃厚なアミノ酸が滲み出す格別の旨味がありました。
現代の食文化において消費者が知っておくべき決定的な事実は、宮崎で提供される炭火焼きには「JAS規格認定の高級ブランド地鶏(みやざき地頭鶏)」と「親鶏(種鶏・長期育成鶏)」という明確な2つの潮流が存在する点です。地元宮崎の愛好家の間では「柔らかさとジューシーさなら地頭鶏、ガシガシとした強い歯ごたえと噛むほど出る滋味なら親鶏」と好みが二分されています。
日本農林規格(JAS)により「地鶏」の名称を用いるには、在来種由来の血統が50%以上であること、ふ化から80日以上平飼い(1平米あたり10羽以下)で飼育することなどの厳格な条件が義務付けられています。「みやざき地頭鶏」はこの国の基準を遥かに超える手厚い飼育管理(雄120日・雌150日飼育、平飼い基準5羽/平米以下)を行っており、全国にわずか数パーセントしか流通しない希少なエリート鶏です。