コートホテル福岡天神の宿泊記で頻繁に語られていたのが、素朴ながら温かみのあった朝食バイキングです。決して高級ホテルのような豪華絢爛な料理が並ぶわけではありませんでしたが、炊き立てのご飯に博多名物の辛子明太子、がめ煮(筑前煮)、焼き魚といった和食定番からスクランブルエッグやパンまで、出張者の朝を支える十分なラインナップが整っていました。
「朝からしっかり明太子ご飯を食べて仕事に向かえた」「気取らない味付けでホッとした」という朝食の評判は、派手な演出よりも実利を求めるビジネスマンから高く評価されていました。過度なプレミアム化が進み、朝食代だけで2,000円〜3,000円を超えるホテルが増えた昨今、千円前後で提供されていた当時の朝食サービスは、まさに日本のビジネスホテル文化が培った良心そのものでした。
客室アメニティも同様に、歯ブラシや髭剃り、ヘアブラシなどをフロント脇から必要な分だけ持参するスタイルを採用していました。環境配慮とコスト抑制を両立させたこの仕組みは、現代のSDGsやプラスチック資源循環促進法を先取りした合理的なアプローチでした。