ネット上の情報やSNSの投稿を鵜呑みにして、後から深刻な後悔に直面するケースが後を絶ちません。取材班が検証した、よくある誤解と危険な落とし穴は以下の通りです。
誤解1:「市販スーパーのお菓子をたくさん買っておけば専用品は不要」
「普段食べているポテトチップスや板チョコを多めに買っておけば、高い非常食缶など買わなくても大丈夫」という言説が散見されます。しかし、これは夏場の日本の気候条件を無視した危険な判断です。一般的な市販スーパーのお菓子は、常温保存を前提としていても賞味期限は概ね半年から1年程度に設定されています。
さらに致命的なのが、脂質の酸化と熱による変質です。真夏の住宅内では室温が40度近くまで上昇することも珍しくありません。チョコレートはファットブルーム現象を起こして風味が著しく劣化し、スナック菓子は油が酸化して胃もたれや下痢の原因となります。脱酸素剤を封入し、遮光・防湿構造が完璧な専用の長期保存缶をベースに据える意義はここにあります。
誤解2:「喉が渇くスナック菓子を好みのままに選んでしまう」
被災直後は深刻な断水に見舞われるケースが大多数です。その状況下で、塩分の強いポテトチップスや喉に張り付くウェハース、激辛スナックなどを口にすると、貴重な飲料水を浪費することになります。非常用として選ぶべきは、唾液だけで飲み込める羊羹やゼリー、あるいは適度な油脂と水分で口溶けの良いビスケット類です。
誤解3:「ローリングストックだけで完結させようとする過信」
消費しながら買い足すローリングストックでお菓子を管理する方法は非常に有効ですが、人間の記憶力と習慣への依存度が高いという弱点があります。多忙な時期に買い足しを忘れ、気づけば戸棚が空になっていたという事例は後を絶ちません。「絶対に手を付けない5年保存のコア備蓄」をリュックの底に確保した上で、手元のストックを回転させる二層構造こそが、最も堅牢な防災体制を作り出します。