世間一般において、夜職出身の起業家に対しては「太客から出資を受けただけではないか」「名前貸しのプロデュースに過ぎないのではないか」といった偏見や誤解が付きまといがちです。しかし、愛沢えみりの経営実態を財務やオペレーションの視点から分析すると、極めて合理的で冷徹なビジネスモデルが浮かび上がります。
2013年にアパレルブランド「EmiriaWiz(エミリアウィズ)」を立ち上げた際、彼女が率いる株式会社SMbrandは、当時まだ珍しかったD2C(Direct to Consumer)モデルをいち早く導入しました。中間マージンを徹底的に省き、自身のブログやSNSを通じて直接ファンへ服の世界観を届ける手法をとったことで、発売開始直後にサイトのサーバーがダウンするほどの注文が殺到。初年度から驚異的な利益率を叩き出しました。
さらに特筆すべきは、ブランドの寿命を見据えた事業多角化のスピード感です。アパレル業界はトレンドの移り変わりが激しく、インフルエンサープロデュースの商品は3年から5年で飽きられるリスクを孕んでいます。彼女はそのリスクを先読みし、自身の強みである「美の追求」を医療分野へと展開。美容クリニック「VENUS BEAUTY CLINIC」の開設やスキンケアコスメの開発、さらにはクリニックプロデュースへと事業領域を巧みにシフトさせました。
本名やプライベートの多くを戦略的にコントロールし、実家との関係性も自立後に時間をかけて良好な関係へと再構築した姿勢からは、感情に流されず物事を長期的に俯瞰する経営者としての冷静さが窺えます。