深夜のパニック時に人々がどのような行動を取り、どのような失敗に直面しているのか、大手コミュニティサイトやSNS上の実例を検証すると、共通する行動パターンが浮かび上がってきます。
「翌朝に会社の面接や学校の頭髪検査を控えており、焦って力任せに引いたら耳たぶから鮮血が噴き出した」「家族に頼んで工具で引っ張ってもらったら、ポストが途中で直角に曲がり、抜くことも差し戻すこともできなくなった」という悲痛な告白は枚挙にいとまがありません。焦燥感に駆られた人間は痛覚に対する閾値が一時的に狂い、「痛くても我慢して引っ張れば抜けるはずだ」という認知バイアスに支配されます。
都内の形成外科クリニックに勤務する看護師は取材に対し、次のように現場のリアルを証言します。
「キャッチが外れなくて来院される方の8割以上は、来院直前までご自身で格闘されています。耳たぶが紫に変色し、皮下出血を起こした状態でお見えになるため、器具を外す前の段階で局所麻酔を打たざるを得ないケースが少なくありません。金具が固まった段階で無理をせず、そのままの状態で駆け込んでくだされば、麻酔も切開も不要で数秒で安全に解除できるのです」