一般発売の最終盤や追加販売で設定される「立ち見席(立見指定)」。チケットを入手できた安堵感の裏で、その過酷な鑑賞環境に対する不安の声は絶えません。現場の取材と実際に立ち見を経験したファンの証言から、そのリアルな生態系を浮き彫りにします。
大阪城ホールにおける立ち見エリアは、スタンド席の最上段(22列目の背後)に位置する通路スペースに設けられます。床面にテープでブロック分けや番号がマーキングされており、入場はチケットに記載された整理番号順に行われます。この立ち見席の評価については、SNSや知恵袋などで評価が真っ二つに割れる傾向にあります。
肯定的な意見としては、「スタンド席の後ろなので傾斜の頂点に位置し、前の席の観客が全員立っても頭上に視界が抜けるため、アリーナ後方よりよっぽど遮るものがなく見やすい」「指定席の窮屈な椅子幅に縛られず、自分のスペースで自由にリズムに乗れる」という声が上がります。視覚的な抜けの良さ自体は、決して悪くありません。
しかし、それを補って余りある物理的デメリットが存在します。第一に「長時間の直立待機」です。立ち見客は開場とほぼ同時に集合場所に並ばされ、整理番号順に入場して場所を確保します。開演前の1時間、本編の2時間半、終演後の規制退場まで含めると、コンクリートの硬い床の上に4時間近く立ち続けなければなりません。足腰への負担は凄まじく、公演後半には疲労で座り込んでしまう観客の姿も散見されます。
第二の罠は「手すり・柵の争奪戦」です。通路最前列のバーを確保できれば体を預けることができますが、整理番号が遅く立ち見列の2列目(後列)に回された場合、前の人の背中越しに背伸びをしながら隙間を覗き見る状態を強いられます。立ち見を勝ち取る場合は、低反発のインソールを入れたスニーカーの着用と、軽量な折りたたみクッション(開演前の待機用)、そして手荷物を極限まで減らしてコインロッカーへ預ける事前戦略が生存条件となります。