ストリートダンスの入門者が最も混乱しやすいのが、ハウスダンスとヒップホップの違いです。どちらもクラブやストリートで育まれたダンスですが、身体運動のメカニズムやリズムの捉え方は対極と言っても過言ではありません。
最大の違いは「リズムの取り方と重心の位置」です。ヒップホップは、BPM85〜100前後の重厚なビートに対し、身体を深く沈み込ませる「ダウン」のリズムを基調とします。大地を踏みしめ、重力を味方につけてタフさや力強さを表現するのがヒップホップの真骨頂です。これに対しハウスダンスは、BPM120超の四つ打ちビートに対し、身体を上方向へ引き上げる「アップ」の感覚や、浮遊感を保ちながらステップを横へ逃がしていく身体操作が不可欠となります。
日本ストリートダンス協会の指導現場データ等を見ても、ヒップホップからハウスへ転向したダンサーが最初に直面する壁は「足首の緊張と重心の低さ」です。ヒップホップで培った力強いステップをそのまま使うと、ハウスのスピードについていけず音が余ってしまいます。逆に、身体を引き上げて力を逃がす感覚を掴むと、ヒップホップ経験者は驚くほど立体的なステップを踏めるようになります。