インターネット上の掲示板や一部の自然派志向の言説において、「ホルモン処理されたぶどうは人体に危険なのではないか」「子どもに食べさせても大丈夫なのか」といった種なしぶどう安全性に対する漠然とした不安が散見されます。しかし、これらの懸念は科学的なファクトを検証すれば完全に払拭されます。
まず根本的な誤解として、ジベレリンは人為的に生み出された化学合成の環境ホルモンや動物性ホルモンではありません。植物自身が発芽や伸長のために体内で自ら合成している「天然の植物ホルモン」とまったく同一の分子構造を持つ物質です。元々は1926年に日本の農学者・黒沢英一氏が、イネが異常に伸びる「ばか苗病」の原因菌(Gibberella fujikuroi)から発見・単離したもので、日本発の世界的な生化学の知見に基づいています。
安全性試験においても、農林水産省および内閣府食品安全委員会による厳格な毒性評価が行われています。ジベレリンは哺乳類の体内に入っても速やかに代謝・排泄され、蓄積性や催奇形性、発がん性などの毒性は認められていません。さらに、処理時期が開花期(収穫の約2〜3ヶ月前)というごく初期に限定されており、収穫期を迎える頃には植物体内の生理代謝によって分解され、果実中には自然界に存在するバックグラウンドレベルしか残りません。
公的機関の残留農薬検査でも、ジベレリンの残留基準値(0.2ppm以下など)を大幅に下回る「不検出」または検出限界値未満が常態です。科学的・法的な根拠に照らし合わせても、種なしぶどうが健康を害するという言説には根拠がなく、安心して口にできる果物であることは明白です。