毎年、金魚の三大産地の一つである奈良県大和郡山市で開催される「全国金魚すくい選手権大会」。わずか3分間の競技時間内に40匹〜60匹以上をすくい上げる歴代チャンピオンたちの動きには、明確な科学的共通点があります。
達人たちが駆使する金魚すくい全国大会の優勝者の技、その第一は「魚を追わないこと」です。水槽の中央を激しく泳ぎ回る魚をポイで追いかけると、水流の乱れによって紙が破れるだけでなく、魚の警戒心を煽って逃亡スピードを加速させてしまいます。達人は常に水槽の角やフチの「壁際」を利用します。魚を壁際に誘導し、進路をポイで塞ぐように待ち構え、魚自らがポイの上を通過する瞬間を捉えるのです。
第二の神業は、「紙ではなくプラスチックの枠に乗せる」という金魚すくい大量に取る裏ワザです。魚の重心(頭部のすぐ後ろ)をポイの円周枠に預け、紙にかかる負荷を最小限に抑えながら、水面上を滑らせるようにしてお椀(ボウル)へと流し込みます。紙を「すくう網」として使うのではなく、魚を滑らせる「スロープ」として機能させる発想の転換こそが、破れない理由とコツの根幹です。
さらに、狙うべき個体の見極めも勝敗を大きく左右します。すくいやすい金魚の特徴は以下の通りです。
- サイズが小さめの小赤(和金):体長3〜4cm程度の個体は重量が軽く、跳ねたときの衝撃が極めて小さい。
- 水面付近で口をパクパクさせている個体:酸素を求めて浮上している金魚は泳ぐ速度が遅く、急な方向転換ができない。
- 動きが鈍すぎず適度な個体:水底でじっと動かない弱った個体は、触れた瞬間に暴れて紙を蹴破るリスクがあるため避けるのが賢明。
- 避けるべき魚:大柄な出目金、琉金、尾びれが大きく水圧を受けやすい個体は、上級者以外は手を出してはならない。