SNSやQ&Aサイト(知恵袋など)を観測すると、「合コンで保険証を見せる流れになり、自分のカードの色で中小企業だとバレて恥ずかしかった」「医療事務の受付スタッフは保険証の色で患者の経済格差を見分けているらしい」といった切実な書き込みが定期的に散見されます。
しかし、都内複数のクリニックに勤務する現役医療事務担当者へのヒアリング取材では、全く異なる実態が浮き彫りになりました。
「受付スタッフが保険証を受け取った際、色で患者さんの年収や社格を値踏みすることなど100%あり得ません。現場が確認しているのは、有効期限が切れていないか、負担割合は何割か、そしてレセプト請求に必要な『保険者番号』と『記号・番号』の数字列だけです。色は単なる背景に過ぎません」(都内総合内科クリニック・レセプト責任者)
実は、医療関係者や人事労務のプロが組織の属性を判別する手掛かりは「色」ではなく、カード下部に記載された「保険者番号(6桁または8桁の数字)」の仕組みにあります。
社会保険の場合、保険者番号の先頭2桁は「法別番号」と呼ばれ、制度の種類を厳格にコード化しています。例えば「01」なら全国健康保険協会(協会けんぽ)、「06」なら大企業の組合管掌健康保険、「31〜34」なら国家公務員や地方公務員の共済組合を示します。また、国民健康保険は6桁の番号で構成されており、自治体コードが割り振られています。つまり、専門家が所属組織の属性を推し量る指標は一貫して数字であり、カードのカラーリングは何の判断材料にもなっていません。