一口に白血病といっても、病態の進行スピードによって急性白血病と慢性白血病に大別されます。なかでも、成人において発症頻度が高い急性骨髄性白血病の初期兆候は、数日から数週間という驚くべき速さで全身に症状を拡大させます。
骨髄内で白血病細胞(芽球)が無秩序に異常増殖をはじめると、骨髄のキャパシティはあっという間に限界に達し、本来作られるべき赤血球・白血球・血小板の工場機能が完全に停止します。このとき最初に自覚されやすいのが、皮膚に現れるあざの異常な増殖と、あざが消えない期間と受診時期の長期化です。通常の打撲傷であれば、受傷から3日目をピークに炎症が治まり、10日もすれば黄色褐色に変化して輪郭がぼやけていきます。しかし急性白血病では、出血を止めるべき血小板が供給されないため、2週間から3週間以上経過してもあざが残存し、その周囲に点状の出血斑が雪崩を打つように増えていくのです。
闘病記や手記を残した元患者たちの一次証言を振り返ると、発症前後のリアルな違和感が克明に語られています。「最初は足のスネに赤いブツブツが出て、虫刺されか乾燥肌の湿疹だと思い皮膚科の軟膏を塗っていた」「数日後、何気なく鏡を見たら太ももの裏や腰回りに覚えのない巨大な青あざがいくつもできていた」「その直後から坂道を登るだけで心臓がバクバクし、ベッドから起き上がれなくなった」といった声は典型的です。あざだけに注目していると見逃しがちですが、原因不明の微熱と倦怠感が重なっている場合、急性骨髄性白血病の進行が強く疑われます。感染防御を担う正常な好中球が枯渇するため、37度台半ばの微熱がダラダラと続き、市販の風邪薬や解熱鎮痛剤を服用しても一向に改善しない状態に陥ります。