阪神・淡路大震災以降、神戸市が主導してきた都市再開発事業は、近代的な高層ビルと耐火構造のインフラを整備し、防災性能を飛躍的に高めた。しかし、ハコモノを整えるだけで街の血が通うわけではない。そこで決定的な役割を果たしているのが「新長田まちづくり株式会社」の取り組みだ。
ハード面の再編が一巡したいま、焦点はソフト面のコミュニティ形成へと移っている。空き店舗を活用した創業支援プログラムや、多文化共生をテーマにしたフェスティバルの開催など、街の余白を活かした実証実験が続く。整然とした近代ビルと、かつての市場の活気を残す低層アーケードが共存する独特の景観は、行政と民間がせめぎ合いながら紡ぎ出した対話の結晶といえる。