狼犬や大型北方犬種を迎えるにあたり、日々の生活環境と医療面のリスクを冷徹に見積もっておく必要があります。
ウルフドッグの平均寿命はおよそ12〜15年とされ、大型純血種と比較すると雑種強勢の恩恵により比較的長命な傾向があります。しかし、飼育下における健康維持には独特の困難がつきまといます。
第一に立ちはだかるのが「動物病院での診療拒否リスク」です。街の一般的な動物クリニックでは、ウルフドッグの受け入れを断られるケースが珍しくありません。狼血量が高い個体は拘束されることに耐えられず暴れる危険がある上、全身麻酔薬に対する代謝スピードや薬剤感受性が一般的な犬と異なる場合があるためです。万が一の事故や病気に備え、高度な保定技術と大型交雑種の知識を持つエキゾチック対応病院や大学病院を事前に確保しておくことが生死を分けます。
好発しやすい疾患としては、大型犬共通の宿命である「胃拡張・胃捻転症候群(GDV)」や「股関節形成不全」が挙げられます。特に胃捻転は食後すぐの激しい運動や早食いによって胃がねじれ、数時間でショック死に至る緊急性の高い病気です。食後の休息管理や複数回に分けた給餌が日常の鉄則となります。
また、狼犬の驚異的な跳躍力と知能は、人間の想像を遥かに超えています。1.8メートルのフェンスを助走なしで軽々と跳び越え、レバー式のドアノブは前足と口を使って自力で開けてしまいます。「檻の施錠を徹底する」「敷地周囲の柵は地中深くまでコンクリートで埋め込む」といった物理的な脱走対策を怠れば、愛犬が近隣トラブルの引き金になる現実は避けられません。