かつて昭和30年代〜40年代前半まで、日本の農村部や露店で主役だったのはこのもちとうもろこしでした。当時は甘味種が普及しておらず、初夏から夏にかけてのおやつや主食の代用として親しまれていた歴史があります。
高度経済成長期以降、品種改良された甘いアメリカ系スイートコーンが台頭したことで、もちとうもろこしは商業栽培の表舞台から姿を消していきました。しかし、岩手県、長野県、山梨県、愛媛県などの伝統産地では、自家消費や地域限定の直売所向けに種が大切に守り継がれてきました。
現代においてもちとうもろこしを食べることは、糖度至上主義の現代フルーツ・野菜文化から一歩離れ、「大地の力強さと穀物の原風景」を追体験する食体験でもあります。甘さだけが美味しさの基準ではないという視点を持つことで、この作物の持つ真価が見えてきます。