京都屈指の激戦区において、なぜルーデンス京都はこれほどまでに美食家たちを惹きつけてやまないのでしょうか。その最大の核心は、シェフの田淵章仁氏が確立した「薬膳イタリアン」という前人未到のキュイジーヌにあります。イタリア各地の名店で研鑽を積んだ田淵シェフは、帰国後に漢方や中医学、さらには日本の古来から伝わる食養生の哲学と出会い、西洋の調理技術と東洋の身体観をひとつの皿の上で昇華させました。
一般的なイタリア料理と聞いて思い浮かべるような、動物性油脂や強い塩味、濃厚なチーズで力押しする構成とは一線を画します。ルーデンス京都で供される料理は、昆布や椎茸、季節の生薬、旬の京野菜から抽出した繊細な出汁(ブロード)をベースに構築されています。胃腸に過度な負担をかけず、食後数時間、翌朝にいたるまで身体の内側からぽかぽかと温まるような感覚を得られる点が、多忙を極める現代の食通たちに深く支持される理由です。
取材の中で見えてきたのは、季節の移ろいを細やかに捉える「二十四節気七十二候」に合わせたメニュー構成の凄みです。春先には体内の巡りを促す野草や柑橘の苦味を効かせ、冬場には滋養を蓄える根菜や温性の生薬をじっくりと煮込む。一口ごとに異なる香りの層が広がり、五感を研ぎ澄まさせる仕掛けが随所に施されています。単なる「健康志向の自然食」にとどまらず、ガストロノミーとしての官能的な美味しさを一切妥協しない姿勢こそが、最高峰の評価を獲得し続ける原動力となっています。