松たか子といえば、二代目松本白鷗を父に持ち、日本舞踊や伝統芸能の薫陶を全身に受けて育ったサラブレッドである。伝統と格式を重んじる歌舞伎界の重鎮である父と、ソニー・ミュージックエンタテインメントをはじめとするポップスやロックの現場で第一線を走り続けてきたロックギタリスト。一見すると対極に位置するふたつの世界だが、そこには「表現に対する真摯な情熱」という共通の根底が存在した。
結婚当初こそ、伝統芸能を背負う家柄ゆえの葛藤や思惑について週刊誌等で取り沙汰されることもあった。しかし、時を経て孫が誕生したことで家族の絆はより一層強固なものとなった。伝統芸能の舞台を支える松竹株式会社の枠組みを超え、舞台芸術と現代音楽がひとつの家族の中でしなやかに融合していったプロセスは、実に味わい深い物語だ。父である松本白鷗も、娘を温かく見守り、音楽家としての佐橋の実力を深く認めるに至っている。