アニの行動原理の根底には、常に育ての父親(レオンハート氏)との約束がありました。血のつながりこそないものの、アニに徹底的な対人格闘術を教え込み、戦士になることを強要した父。しかしパラディ島へ出立する直前、父は涙を流しながら「世界中をお前の敵にしても、父さんだけはお前の味方だ」「必ず帰ってきてくれ」と懇願しました。アニがどれほど手を血に染めても、世界が滅亡の危機に瀕しても、彼女の唯一無二の望みは「父のもとへ生きて帰ること」だったのです。
物語終盤の「天と地の戦い」において、スラトア要塞で父親と再会しかけた直後、ハルのキゲニア(光るムカデのような有機生物の起源)によってレオンハート氏を含むエルディア人たちが無垢の巨人に変貌させられるという絶望のドン底に突き落とされます。しかしエレンの死によって巨人の力がこの世から消滅したことで、父は奇跡的に人間の姿へと戻り、アニと涙の抱擁を交わすことができました。
そしてもう一つ、読者の心を強く惹きつけたのがアルミン・アルレルトとの恋愛関係です。
アニが水晶体の中で眠っていた4年間、アルミンは足繁く地下室へと通い、外の世界の情勢や自らの迷いを語りかけ続けていました。アニは意識を閉ざしていたわけではなく、うっすらと外の会話を聞き取っており、自らの孤独を埋めてくれたアルミンの存在を深く認識していました。
「ベルトルトの記憶に影響されているのではないか」という疑念を互いに投げかけ合いながらも、二人は船上での対話を通じて、互いの弱さや大量虐殺に関担した罪悪感を分かち合います。最終話(第139話)では、和平使節団としてパラディ島へ向かう客船の中で、照れ隠しを見せるアニとそれを優しく見守るアルミンの姿が描かれ、事実上のパートナー関係(恋仲)として結ばれたことが示唆されています。