調剤明細書を見比べた際、服薬管理指導料の代わりに「かかりつけ薬剤師指導料(約73〜76点)」が算定されているケースを目にすることがあります。両者の決定的な分岐点は、「施設・薬剤師個人への専任契約(同意書)の有無」と「24時間包括フォロー体制の義務付け」にあります。
服薬管理指導料は、その日その薬局で担当した薬剤師が対面指導を行った都度算定される「スポット型の評価」です。これに対し、かかりつけ薬剤師指導料は、一定以上の実務経験や研修認定、地域活動実績を持つ特定の薬剤師を患者が指名し、署名入りの同意書を取り交わすことで算定されます。
医療行動科学および医療経済の観点から見ると、この制度には明確な費用対効果の境界線が存在します。
単一のクリニックから定期的に同じ湿布やビタミン剤のみを処方されている若年・単発の患者にとって、毎回30点以上高いかかりつけ指導料を支払うメリットは極めて希薄です。一方で、内科・整形外科・眼科など複数の医療機関から合計5種類以上の薬剤を処方されている高齢患者の場合、かかりつけ薬剤師がすべての処方を一本化して重複や相互作用をチェックする価値は、追加される数十円から百数十円の自己負担額を遥かに凌駕します。
近年では、薬局側が経営的な点数底上げを狙って機械的に同意書への署名を求める行為に対し、患者との「心理的バウンダリー(境界線)」を侵害しているとして問題視されるケースも報告されています。薬剤師との信頼関係と、自身の投薬リスクの複雑さを冷静に天秤にかける姿勢が求められます。