プロの厨房や洋食店では、そもそもケチャップ単体でチキンライスの味付けを完結させるケースは稀です。ケチャップは加熱によって糖分が焦げ付きやすく、ご飯がダマになりやすい弱点を持つため、下味にトマト加工品やフォンドボーなどを巧みに組み合わせるのが通例だからです。
チキンライスケチャップ足りないというアクシデント時、料理人の間で真っ先に白羽の矢が立つのがトマトペースト代用やトマト缶オムライスへの応用です。濃縮されたトマトペーストがある場合、大さじ1杯に対して砂糖小さじ1、塩ひとつまみ、ウスターソース小さじ1を加えるだけで、一般的なケチャップよりもはるかに風味豊かで雑味のない特製トマトソースが即座に完成します。
ホール缶やカット缶のトマトを使う場合は、ホール缶1/2缶(約200g)を別鍋またはフライパンの端で木べらを使って半分以下の量になるまで徹底的に煮詰める工程が欠かせません。水分を十分に飛ばさないまま温かいご飯を投入すると、米粒が余分な水分を吸い込み、ベチャベチャとした不快な食感に仕上がってしまいます。料理研究家や調理師が現場で口を揃えるのは、「缶詰トマトを使うときは、水分を飛ばしてペースト状になってからバターと塩コショウで下味をつけ、そこへご飯を滑り込ませる」という基本動作の徹底です。