臨死現象に関する科学的な追究の歴史は、1970年代に遡る。精神科医のレイモンド・ムーディ博士が著書『かいまみた死後の世界』で「Near-Death Experience(NDE)」という概念を提唱したことが、すべての出発点だった。ムーディ博士は、心肺停止から蘇生した100人以上の症例を分析し、共通する要素を体系化した。
彼の研究は当初、オカルトとして扱われがちだった。しかし、その情熱は世界中の研究者たちを動かし、国際臨死体験学会の設立へとつながっていく。同学会には現在、医師、心理学者、脳科学者、さらには哲学者までが参画し、世界各地のデータベースを構築しながら学術的な検証を重ねている。
「人間の死に際して起きる体験には、国境や文化的背景を超えた普遍的な骨組みがある」。ムーディが示したこの洞察は、半世紀を経た今もなお、新たな検証の原動力として生き続けている。