豊橋市のケーキ屋で今最も愛されている名店は一体どこなのか。結論から言えば、単一の絶対王者が君臨しているのではなく、「日常の癒やしを支える伝統店」と「素材美を追求する現代的パティスリー」がそれぞれの領域で市民の胃袋と心を掴んでいます。
半世紀以上にわたり豊橋駅前で市民の待ち合わせ場所としても親しまれてきた「マッターホーン」は、その代表格です。モザイク模様が美しい看板ケーキ「ダミエ」をはじめ、素朴でありながら一切の妥協がないクラシックな生洋菓子は、世代を超えて受け継がれるソウルフードとなっています。また、豊橋を語る上で外せない「ボンとらや」のピレーネは、ふんわりとしたスポンジ生地に優しい甘さのクリームを包み込んだ逸品で、普段使いのおやつから気軽な手土産まで盤石の人気を誇ります。
対照的に、近年熱狂的な支持を集めているのが「パティスリー モリ」や「ベルカント」といった気鋭の専門店です。フランス菓子伝統の骨太な構成を受け継ぎつつ、三河産のフレッシュな柑橘やベリーをふんだんに取り入れたガトーは、見た目の華やかさと重層的な風味が際立ちます。取材陣が定点観測した現場データでも、週末の午前中から限定ガトーを求めて遠方ナンバーの車が列を作る光景が日常化しており、豊橋のスイーツ水準の高さが広く認知されている証左といえます。