本作がカラオケの定番曲として30年近く愛され続けている背景には、シンガー泣かせの難易度と、聴き手を惹きつけてやまない緻密な音楽理論があります。
まずボーカル面における最大の壁は、サビで連発される高音域の跳躍です。出逢った頃のように カラオケ キーの設定を検証すると、原曲キー(Key: E♭メジャー等)におけるサビの最高音は女性ボーカルの換声点(チェストからヘッドボイスへの移行部)に重なる「hiD〜hiE♭」付近に設定されています。持田香織特有の透明感のあるミックスボイスを再現するには、息をしっかり流しながら喉を締めずに当てる高度なテクニックが求められます。高音に不安がある場合は、無理をせず「原曲キーから#1下げる(-1)」または「-2」に設定することで、息切れせずにサビの爽快感を維持できます。
一方、ギタリストやアレンジャーの間で語り継がれているのが出逢った頃のように コード進行の妙です。サビでは王道のJ-POP進行(IV→V→iii→vi)をベースにしつつ、要所にサブドミナントマイナー(IVm)や分数コードを巧みに挟み込むことで、単なる底抜けの明るさではなく、一瞬の「キュンとする切なさ」を演出しています。このメジャーコードの輝きの中に忍ばせた哀愁のコードワークが、90年代 J-POP 名曲特有の奥深さを生み出しているのです。