『GTO』という作品を語る上で欠かせないのが、藤沢とおるによる原作漫画と、1998年のテレビドラマ版におけるキャラクター設定の大幅な改変です。原作とドラマを比較すると、村井国雄という人物造形には明確な演出意図が反映されていました。
プロデューサーの安藤和久をはじめとする制作スタッフは、「原作の過激なギャグ要素を抑制し、よりシリアスで骨太な人間ドラマに仕立てる」という明確な方針を掲げていました。そのため、原作では小柄で勉強嫌いだった村井國男は、ドラマ版では学業優秀かつ体育教師の袴田はじめを凌駕する身体能力を持つ、学級の精神的リーダーへと昇華されました。
トレードマークとなった坊主頭の理由についても興味深い背景が存在します。当時、新人俳優としてオーディションに挑んでいた池内博之は、端正な顔立ちのライバルたちと差別化を図るため、自らの意志で頭を丸めて面接に臨みました。その武骨で反逆的なシルエットが「群れることを嫌い、大人に迎合しない村井国雄の精神性」と完璧に合致したことで監督陣の目に留まり、役を勝ち取る決定打となったのです。
また、ファンの間で長年議論されてきたのが「村井の母親役キャスト」の存在です。原作の母親は、14歳で國男を産み女手一つで育て上げた27歳の絶世の美女で、ノーブラ生活と喫煙を好む破天荒なキャラクターでした。1999年のアニメ版では声優の緒方恵美が妖艶かつ力強く声を演じ、2012年のAKIRA版ドラマでは、当時ブレイク前夜だった吉田羊が村井つばさ役を熱演しました。息子の自立を見守る若き母の艶やかさと芯の強さを見事に体現した吉田羊の演技は、現在でも名シーンとして高く評価されています。