ネット上や一部のビギナー層の間では、「トランキーロ=対戦相手や会社を挑発するための単なる悪態」と捉えられがちです。しかし、内藤選手の自著や専門誌のロングインタビューを紐解くと、この解釈が表層的な誤解であることが分かります。
内藤選手自身が語る真意によれば、この言葉は他者へ向けられた挑発であると同時に、「過去の自分自身に向けた強烈な戒め」でした。20代の頃の内藤選手は、団体のエースにならなければならない、早くベルトを巻かなければならないと、誰よりも自分自身で焦り、視野狭窄に陥っていました。その結果、持ち前のプロレスセンスを十分に発揮できず、ファンとの距離が開いてしまった苦い原体験があります。
だからこそ、「トランキーロ、あっせんなよ」と口にするとき、彼は自分自身の心拍数を整え、周囲の雑音から自らを切り離しています。相手を煽るパフォーマンスでありながら、内面では極めて冷静な自己制御(セルフコントロール)のスイッチとして使われている点が、この言葉の持つ本質的な凄みなのです。