『ゲド戦記』のクライマックスにおいて、視聴者に強い衝撃を与えるのがクモの肉体崩壊シーンです。このシークエンスは、ジブリ作品の中でも屈指のトラウマシーンとして知られています。
クモは捕らえたテルーを人質にし、アレンと対峙しますが、アレンが鞘から引き抜いた「光の魔法の剣」によって片腕を切り落とされます。切断された傷口からは血ではなく、黒くドロドロとしたタール状の液体が滴り落ち、そこからクモの肉体は急速に崩壊を始めます。
魔法による偽りの若さが解けたクモは、一気に老いさらばえ、髪は抜け落ち、皮膚が溶け崩れる醜怪な姿へと変貌。最後は、真の名「テハヌー」を取り戻して竜の姿へと覚醒したテルーが放つ業火のブレスに包まれ、灰となって消滅するという完全な死を迎えました。「死にたくない」と絶叫しながらドロドロに溶けていく描写は、死を拒絶し続けた者の悲惨な末路を視覚的に残酷なまでに描き出しています。