事件直後のメディア空間は、異様な緊張感に包まれた。発生から数分でYahoo!ニュースのトピックスに第一報が掲出され、スマートフォンの画面にはLINE NEWSの緊急プッシュ通知が次々と鳴り響いた。テレビではNHKニュースが特設スタジオから現場の中継映像を流し続け、街の緊迫した空気を伝えた。
しかし、情報伝達の高速化は深刻な副作用も生み出している。確証のない一般人のSNS投稿が拡散され、無関係な人物の写真が犯人として出回る事態が一時発生した。現代の報道・ジャーナリズム業界が直面する「迅速性」と「正確性」のジレンマである。視聴者のクリックやインプレッションを狙った扇情的な見出しが氾濫するなか、刑事事件・重大犯罪ニュースを扱うメディアには、感情的な煽動を排し、検証可能な事実だけを積み上げる冷徹な姿勢が強く求められている。