ドイツ音名の優れた特徴は、派生音(半音上がった音・半音下がった音)の命名規則が極めて論理的である点です。ドイツ音名 シャープ フラットの表記は、語尾に特定の接尾辞を付加することで完成します。
1. ♯(シャープ)が付く場合:接尾辞「-is(イス)」を付与
幹音のアルファベットの後ろに「-is」を接続します。発音もそのまま連続して読みます。
- C + is = Cis(ツィス / チス):ド♯
- D + is = Dis(ディス):レ♯
- E + is = Eis(エイス):ミ♯(ファの異名同音)
- F + is = Fis(フィス):ファ♯
- G + is = Gis(ギス):ソ♯
- A + is = Ais(アイス):ラ♯
- H + is = His(ヒス):シ♯(ドの異名同音)
2. ♭(フラット)が付く場合:接尾辞「-es(エス)」を付与
ドイツ音名 isとesの規則において注意が必要なのが、♭が付いたときの母音融合と例外パターンです。基本は「-es」を付けますが、母音が重なる音については発音の簡略化が行われます。
- C + es = Ces(ツェス):ド♭
- D + es = Des(デス):レ♭
- E + es = Es(エス):ミ♭(「Ees」ではなく母音Eが脱落)
- F + es = Fes(フェス):ファ♭
- G + es = Ges(ゲス):ソ♭
- A + es = As(アス):ラ♭(「Aes」ではなく母音Aが脱落)
- H + es = B(ベー):シ♭(※「Hes」とは言わず単独文字「B」を用いる)
3. 重嬰音(ダブルシャープ)と重変音(ダブルフラット)
2箇所の変化記号が付く場合、シャープは「-isis(イシス)」、フラットは「-eses(エセス)」を重ねます。
- Cisis(ツィシス):ドのダブルシャープ
- Fisis(フィシス):ファのダブルシャープ
- Ceses(ツェセス):ドのダブルフラット
- Asas(アサス)または Ases(アセス):ラのダブルフラット
- Heses(ヘセス)または BB(ベーベー):シのダブルフラット(Bにさらにフラットが付いた状態)