1993年7月15日にリリースされたシングル『オラはにんきもの』は、リリース直後からレコードショップの店頭から姿を消す異常事態を引き起こしました。当時の邦楽シーンは、いわゆる「ビーイング系」をはじめとするミリオンセラーが連発していたJ-POPの黄金期。その激戦区において、アニメの登場人物が歌うキャラクターソングがオリコン週間シングルチャートで初登場上位に食い込み、最高4位を記録したニュースは、音楽業界関係者に大きな衝撃を与えました。
アニメキャラクター単独名義でのオリコンTOP10入りは、1968年のオリコンチャート発足以来、日本の音楽史上初の快挙でした。日本レコード協会のゴールドディスク認定を受け、最終的な実売数は60万枚以上、出荷ベースでは80万枚を突破したと報じられています。数あるクレヨンしんちゃん主題歌の中でも、本作は1993年7月から1995年10月まで約2年3カ月にわたりオンエアされ、歴代オープニング曲の中で最長の起用期間を誇ります。
この歴史的快挙の裏には、アニメ制作会社シンエイ動画とレコード会社ワーナーミュージック・ジャパンの綿密な戦略がありました。単に既存の歌手へ主題歌を依頼するのではなく、「5歳の幼稚園児であるしんのすけ自身が、自分の日常と欲望を全開で歌い上げる」というコンセプトを徹底追求した結果、聴く者すべての耳に焼き付く唯一無二のキラーチューンが誕生したのです。