作中に初めて登場した際、多くの読者が「受話器が生えたカタツムリ型のサイボーグ機械」という印象を抱きました。しかし、単行本19巻の質問コーナー(SBS)において、原作者の尾田栄一郎氏は「電伝虫は機械ではなく、本物の虫(カタツムリの仲間)」であると明言しています。
彼らはもともと、仲間同士で独自の微弱な電波(念波)を飛ばし合って意思疎通を図る特殊な生態を持っています。人間側はその固有能力に着目し、殻の上に受話器やダイヤルなどの通信パーツを外科的に取り付けて利用しているに過ぎません。驚くべきことに、これらのパーツは電伝虫の身体に無理やり埋め込まれているわけではなく、餌を定期的に与えて安全な飼育環境を整えることで、電伝虫側も納得して「通信業務」を引き受けています。
実際、尾田氏の解説によれば、殻の通信機器を取り外して野に放てば、痛みや後遺症もなく「ただの野生のカタツムリ」として自然に帰っていくとされています。機械化による生体兵器ではなく、人類の利便性と生物の生存本能が合致した一種の「互恵的共生関係」によって成り立っている点が、ワンピース世界特有の有機的な世界観を象徴しています。
もう一つの決定的な特徴が、受話器を通じて通話相手の表情や仕草をリアルタイムで真似る「表情模写機能」です。相手が激怒していれば眉間にシワを寄せ、傷ついていれば青ざめ、サングラスをかけていれば殻の上の目までサングラス風に変形します。これは単なる視覚的ギャグ描写にとどまらず、心理学における「ノンバーバル・コミュニケーション(非言語情報)」を遠隔地に正確に伝達する優れたバイオインターフェースとして機能しています。