一条恵観山荘の敷地内に足を踏み入れると、まず目を奪われるのが園内各所にしつらえられた「花手水」です。手水鉢や蹲(つくばい)の水面に、紫陽花、紅葉、椿、季節の野花が計算し尽くされた色彩設計で浮かべられており、訪れる時期によって全く異なる表情を見せてくれます。
SNS上でのフォトジェニックな美しさはもちろんのこと、単なる流行にとどまらない「侘び寂び」と華やかさの同居が高く評価されています。手入れの行き届いた苔庭や、滑川のせせらぎが心地よい音を奏でる自然林と相まって、一歩進むごとに異なる景色が広がる回遊式庭園の醍醐味を味わえます。
そして山荘の真骨頂といえるのが、茅葺き屋根の優美な主屋です。外観は素朴な田舎家風に見せかけながら、内部は洗練を極めた数寄屋造りの茶室となっており、当時の皇族や貴族たちが格式にとらわれず風流を楽しんだ秘密基地のような趣を漂わせています。