銘酒「桃の滴」を語る上で欠かせないのが、その美しい名前に込められた風情あふれる由来です。この銘柄名は、江戸時代の俳聖・松尾芭蕉が京都伏見の地に滞在した際、門人であった去来の別荘で詠んだとされる名句「我が衣に伏見の桃の滴すれ」に深く根ざしています。
かつて伏見の地は、春になると見事な桃の花が咲き誇る景勝地として知られていました。芭蕉が愛でた桃の瑞々しさと伏見の風土を重ね合わせ、「一滴の雫にまで心を込めた美酒を届けたい」という蔵元の祈りから生まれたのが「桃の滴」です。
蔵を構える松本酒造(京都伏見)は、近代化産業遺産にも認定された美しいレンガ造りの煙突と土蔵が象徴的な老舗です。敷地内から湧き出るミネラルバランスに優れた軟水「伏水」を仕込み水に使い、手造りの精神を守り抜くことで、歴史と自然が息づく唯一無二の味わいを守り続けています。