インターネット黎明期から現代に至るまで、知恵袋やまとめサイトで拡散され続けているのが「トムとジェリーの衝撃的な最終回」に関する都市伝説です。代表的なバリエーションとして、以下の2つが広く知られています。
【都市伝説1:トムの寿命とジェリーの死】
歳をとったトムが先に寿命を迎え、目の見えなくなったトムの前から姿を消す。残されたジェリーは新しい若いネコに挑むが、本気で爪を立てられ、トムがどれほど自分を手加減して愛してくれていたかを悟りながら命を落とす――という涙を誘うストーリー。
【都市伝説2:失恋と踏切での自殺エンド】
失恋して絶望したトムとジェリーが、並んで線路に座り込み、背後から汽笛を鳴らす列車の光が迫ってブラックアウトする――という救いのない鬱エンド。
調査の結果、都市伝説1は日本のネットユーザーによって創作された完全な二次創作(ファンフィクション)であることが判明しています。制作会社であるメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)およびワーナー・ブラザースの公式フィルムアーカイブに、このようなエピソードは一切存在しません。
一方で戦慄すべきは、都市伝説2の「線路のラストシーン」は実際に制作された公式エピソードであるという事実です。問題の作品は、ハンナ=バーベラ第1期の幕引きに近い1956年に公開された『悲しい悲しい物語(Blue Cat Blues)』。美女ネコに身代金を巻き上げられて破滅したトムと、同じく恋人に裏切られたジェリーが、絶望の果てに線路に佇み、列車の接近音とともに幕を閉じるという異色作です。ただし、これもシリーズの「公式な最終回」として作られたわけではなく、数ある短編の中の1本に過ぎません。『トムとジェリー』に明確な最終回は設定されておらず、時代のスタジオ移籍を経ながら現在も新作が紡がれています。