日本列島の活火山現在活動状況を観察する上で、南の桜島と東日本の浅間山は、対極的な警戒パターンを示す代表例です。
桜島最新動向において、火山学者たちが最も注視しているのは「噴火回数」そのものではなく「姶良カルデラ(鹿児島湾奥)の地盤隆起」です。京都大学防災研究所火山活動研究センターなどの観測データによれば、地下約10kmにあるマグマ溜まりには、年間約1000万立方メートル前後のペースでマグマが絶え間なく供給されています。現在の南岳山頂火口や昭和火口からの小規模な日常的噴火では供給分を放出しきれておらず、「いつ大正噴火(1914年)級の大噴火に転換しても不思議ではない」という極めて緊張感のある局面が続いています。
一方、観光客で賑わう軽井沢を足元に抱える浅間山噴火警戒レベルの動向は、微妙なシグナルとの戦いです。浅間山は2026年代に入ってからも山体浅部を震源とする火山性地震の増減、山体傾斜計の微細な変動を繰り返しています。気象庁浅間山火山防災連絡事務所の担当者が会見等で度々強調するように、「レベル1だから安全、登っても平気」という解釈は根本的な誤謬です。山頂火口から数キロ圏内では、地殻変動のわずかな変化から数時間〜数日で小規模噴火に至る特性があり、日常と非日常の境界線が極めて曖昧な山といえます。