「制作開放席は見切れ席だから損をするのか」という疑問に対し、興行現場の現実を踏まえた答えを述べるなら、「総合演出の全体像を俯瞰することは難しいが、出演者個人との物理的距離においては通常の良席を遥かに凌駕する可能性がある」となります。
ステージ真横(いわゆるサイドスタンド)に配置された場合、巨大なメインLEDビジョンやステージ奥のセットは視界から遮られます。演出上重要なプロジェクションマッピングや照明アートの美しさを堪能することは困難です。しかし、出演者がメインステージの袖に移動してきた際や、外周花道へ駆け出す動線においては、アリーナ席の後方ブロックよりも格段に近い「数メートルから十数メートルの距離」で生身の姿を視認できます。
ソーシャルメディア上の観覧ログやファンコミュニティに寄せられた実際の声を抽出すると、体験者の評価は明確に二極化しています。
「ステージ奥に引っ込んだメンバーがスタッフから給水ボトルを受け取る姿や、出番前の談笑、舞台袖でのスタンバイ風景まで丸見えだった。普通の席では絶対に見られないプロの裏側を覗き見できた感覚で、まさに唯一無二の神席だった」(アリーナ公演・20代女性の手記)
「スピーカーの真横だったため重低音が身体中に響き、MCの声が一部反響して聞き取りにくかった。メインモニターが見えないため、今どんな映像が流れているのか分からず、演出の世界観に没入したいタイプの人には厳しいかもしれない」(ドーム公演・30代男性の報告)
このように、「出演者との超至近距離やレアな舞台袖の目撃」に価値を見出す人にとっては伝説的な神席となり、「照明や映像を含めたショー全体の完成度」を重視する人にとっては見切れによるストレスが勝る座席構造となっています。