メディア環境の激変に直面するテレビ放送業と映像制作業界は、かつてない転換期を迎えている。地上波の視聴率至上主義から脱却し、いかに深みのあるコンテンツを長期的な知的財産として残せるか。東宝をはじめとする映画会社や独立系プロダクションも、従来のドラマ仕立てのフィクションから、事実の重みで観客を圧倒するリアル志向のプロジェクトへと舵を切り始めている。
CGやAIによる映像生成が日常化した今だからこそ、観客が渇望しているのは「本物の痕跡」だ。埃をかぶったアーカイブフィルムの発掘、数十年にわたる関係者の追跡、現地での地道な聞き込み。膨大な労力をかけて掘り起こされた事実の重みは、フェイクが溢れる情報空間において圧倒的な説得力を放つ。映像制作の現場はいま、リアリティの定義そのものを問い直している。