一口馬主における最大の関心事は「結局いくら稼げばプラスになるのか」という損益分岐点だ。初期費用から引退までの維持費を合算した全試算データを踏まえ、冷徹な回収シミュレーションを紐解く。
一般的な500口クラブで募集価格4,000万円(1口8万円)の馬に2歳1月から4歳12月までの3年間出資した場合の総支出を試算してみよう。
出資金8万円に加え、3年間のクラブ会費(約12万円)、維持費(月1,500円×36ヶ月=5万4,000円)、競走馬保険料(3年間で約4,000円)を合算すると、1口あたりの総支出は約25万8,000円に達する。馬全体では約1億3,000万円前後のコストがかかっている計算だ。
獲得賞金から会員への配当が手元に残るまでの控除率も頭に入れておかなければならない。レースの総賞金から日本中央競馬会(JRA)の登録料や進上金(調教師20%、騎手5%、厩務員5%)、クラブの手数料、源泉所得税などが差し引かれるため、出資者に実質的に分配されるのは総賞金の約60〜65%程度に留まる。
つまり、4,000万円で募集された馬がコストを全額回収して黒字化を達成するには、現役生活で総額2億円以上の賞金を稼ぎ出す必要がある。これはJRAの重賞(G2〜G3)を勝つか、オープンクラスでコンスタントに上位入着を続けなければ到達できない極めて高いハードルだ。