性質の異なる両者ですが、同時に体内に取り入れることで単体摂取を上回る優れたシナジー効果を発揮します。インターネット上では「酸同士が喧嘩して効果を打ち消し合うのではないか」という懸念も見受けられますが、これは生化学的に否定されています。むしろクエン酸とビタミンCの同時摂取は、栄養素の吸収効率を高める上で極めて合理的な組み合わせです。
その筆頭が、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」や「カルシウム」の生体内利用能(バイオアベイラビリティ)の大幅な向上です。非ヘム鉄は三価鉄(Fe3+)の状態で存在するため腸管から吸収されにくい欠点がありますが、ビタミンCの強力な還元力によって吸収されやすい二価鉄(Fe2+)へと変換されます。ここにクエン酸の「キレート作用(ミネラルを包み込んで水に溶けやすい形に保つ働き)」が加わることで、鉄分の沈殿を防ぎ、小腸粘膜からの吸収ルートを強力にサポートします。
加えて、抗酸化ネットワークとエネルギー産生の連動も見逃せません。激しい運動や精神的ストレス下では、エネルギー消費に伴って大量の活性酸素が発生します。クエン酸がミトコンドリアで円滑な代謝を維持してエネルギー枯渇を防ぎつつ、ビタミンCが副産物として発生した活性酸素を即座に中和することで、細胞の酸化的ダメージを最小限に食い止めます。疲労回復とエイジングケアを同時に狙う上で、両者をバランスよく組み合わせる戦略は非常に理にかなっています。