知恵袋や大手SNSのコミュニティ、さらにはリペアショップの相談窓口には、購入後のギャップに苦しむビギナーの生々しい声が寄せられています。
特に目立つのが「クラシックギターで最近のJ-POPを弾き語りしたら、違和感しかなかった」という告白です。アコギ特有のジャカジャカという歯切れの良いアタック音を期待してあいみょんや優里の楽曲をコードストロークしたところ、「ポコポコ」「モコモコ」とした素朴すぎる音になり、伴奏としてのリズム感が出ないという悩みです。クラシックギターは指先で単音や分散和音(アルペジオ)を美しく響かせる楽器として最適化されているため、ピックを使った激しいストロークには向きません。
一方で、現代の日本の住宅環境において、クラシックギターの「音量の小ささ」が大きな利点として評価されるケースも増えています。アコギのスチール弦が放つ音量は約85〜90dB(電車が通過する高架下レベル)に達し、一般的な木造アパートや防音のないマンションでは昼間でも近隣トラブルの要因になります。これに対し、ナイロン弦のクラシックギターはピーク時でも75dB前後に留まり、夜間の練習でもミュート具を併用すれば十分に許容範囲に収まるケースが多いためです。
また、弦交換の難易度に関する見落としも深刻です。アコギはブリッジピンを引き抜き、弦の先端にあるリング(ボールエンド)を引っ掛けるだけの明快な作業ですが、クラシックギターはブリッジの穴に弦を通し、ほどけないように特殊な巻き結びを作る必要があります。弦を固定する技術が甘いと、演奏中に結び目が解けてブリッジトップを叩き、表板を傷つけてしまう事故も現場では散見されます。