エアコンの送風ファンが回り始めた瞬間、あるいは静止している吹き出し口から虫が落下してくる事態は、住まい手にとって悪夢以外の何物でもありません。空調設備の技術調査データによれば、エアコンの虫の侵入経路の約7割は「ドレンホース(排水管)」、残りの約3割は「配管を通す壁穴(スリーブ)の隙間」や「換気口」に起因しています。
そもそもエアコンから虫が落ちてくる理由は、エアコン内部の環境が害虫にとって極めて快適なオアシスと化している点にあります。冷房運転時の室内機内部には結露水を受け止める「ドレンパン」が存在し、常に多湿な環境が保たれます。さらに、フィルターをすり抜けた皮脂汚れ、ホコリ、カビは害虫にとって絶好のエサです。「暗所・高湿度・豊富なエサ」という三拍子が揃った室内機は、外部から迷い込んだ虫が定着し、繁殖するのに最適な巣窟となってしまうのです。
運転を開始した際の振動や強い風圧によって、内部に潜んでいた個体が足場を失い、吹き出し口から室内に落下してくるというのが、あの戦慄の瞬間の物理的メカニズムです。