SNSやネット掲示板を観察していると、「月給25万円・手取り20万円あれば独身なら遊んで暮らせる」といった楽観的な言説が散見されます。しかし、現場の取材を通じて見えてくるのは、制度の無理解から生じる3つの危険な落とし穴です。
第1の罠は、先述した「社会人2年目の住民税ショック」です。新卒1年目は前年に所得がないため住民税が徴収されず、手取りは額面25万円に対して約20万6,000円前後と高めに出ます。ところが2年目の6月以降、毎月約1万円の住民税が突如として控除され始めます。1年目の感覚でお金を使い続けていると、突如として毎月1万円の赤字に転落するリスクを孕んでいます。
第2の罠は、物価上昇による購買力の低下です。光熱費や食料品の価格改定が続く環境下では、数年前の「手取り20万円」と現在の「手取り20万円」では、買えるモノの総量が明らかに目減りしています。過去の生活費データを鵜呑みにして「食費は2万円で収まる」と過小評価していると、現実の家計簿とのギャップに苦しむことになります。
第3の罠は、節税策に対する過信と誤認です。手取りを少しでも増やそうと税金対策を模索する中で、代表格として挙げられるのが「ふるさと納税」です。しかし、額面年収300万円(ボーナスなし・独身)の場合、ふるさと納税控除限度額の年間上限はおよそ2万8,000円前後にとどまります。ボーナス込みで年収400万円の場合でも上限は約4万3,000円です。限度額を超えて寄付を行えば、単なる自己負担の持ち出しとなり、かえって手元現金を減らす本末転倒な事態を招きます。制度の枠組みを正しく把握した上での運用が欠かせません。