ビジュアル重視のSNS文化が生んだ最大のヒット作といえば、ヒノキの升に詰められた抹茶ティラミスだろう。京都・四条河原町を発端に全国へ拡散したこのスイーツは、いまや抹茶ティラミスが映えスポットの代名詞として不動の地位を築いた。表面を覆う均一な抹茶パウダーの深い緑と、升の木目のコントラスト。スプーンを入れた瞬間に、マスカルポーネチーズの純白クリームがとろけ出す様子を収めた短尺動画は、累計数千万回以上再生されている。
しかし、ビジュアル先行型の商品が淘汰されやすい飲食業界において、このブームが一過性で終わらなかった理由は「基礎調合の確かさ」にある。マスカルポーネの濃厚なコクと酸味が、抹茶特有の収斂味(しゅうれんみ=心地よい渋み)と見事にマリアージュし、最後の一口まで食べ飽きさせない設計がなされている。
さらに、近年パティスリーや専門店で急速に支持を広げている抹茶テリーヌの評判や口コミを検証すると、熱心なスイーツフリークたちからの極めて高い熱量が確認できる。ネット上では以下のようなリアルな声が目立つ。
「一切れ口に入れた瞬間、生チョコレートのように体温で溶けていき、鼻腔を抜ける覆い香に圧倒された」
「小麦粉を極力使わないグルテンフリー製法のおかげで、抹茶の純度がダイレクトに伝わる。コーヒーではなくストレートの煎茶やエスプレッソと合わせたい」
他方で、1杯1,500円から2,500円を超えるような高級抹茶カフェに対するネットの反応は、賛否両論の様相を呈している。「茶葉の希少性やカウンターでの職人の所作を考えれば、バーでシングルモルトを頼むのと同じで妥当」という肯定派が存在する一方で、「日常のお茶にそこまでの金額を払うのは過剰な演出ではないか」という慎重派の声もある。消費者の審美眼が急速に肥えてきたからこそ、価格に見合う本物の体験がシビアに問われている。