日本列島を襲う大地震は、発生する位置と構造によって主に「海溝型地震(プレート境界地震)」「プレート内地震(スラブ内地震)」「内陸直下型地震(活断層地震)」の3種類に分類されます。
1. 海溝型地震:巨大な歪みの限界突破
海洋プレートが陸側プレートの下へ潜り込む際、接触面(アスペリティと呼ばれる強固な固着域)で陸側プレートの先端が地下へと引きずり込まれます。陸側の岩盤はバネのように縮み、長年かけて歪みエネルギーを蓄積します。
数十年から数百年にわたり蓄えられた歪みが限界(岩盤の剪断強度)に達した瞬間、陸側プレートが元に戻ろうとして一気に数メートルから数十メートル跳ね上がります。これが海溝型地震の発生理由です。跳ね上がりによって大量の海水が押し上げられ、津波が発生します。南海トラフ沈み込み帯や日本海溝で発生する超巨大地震がこれに該当します。
2. 首都直下地震:世界唯一の「地下3重構造」がもたらす複雑性
首都圏(南関東)の地下は、世界でも極めて特異な立体交差構造をしています。地表を覆う「北米プレート」の真下に、相模トラフから潜り込んだ「フィリピン海プレート」が重なり、さらにその下へ日本海溝から潜り込んだ「太平洋プレート」が潜り込むという3枚のプレートが地下数km〜百km圏内で重なり合う3層サンドイッチ構造です。
このため、首都直下で想定されるマグニチュード7クラスの地震メカニズムは単一ではありません。
- 浅い内陸活断層のズレ(地表付近の破壊)
- 北米プレートとフィリピン海プレートの境界破壊(相模トラフ系)
- フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界破壊(超深部境界)
- 沈み込んだプレート自体の内部破壊(スラブ内地震)
政府の地震調査委員会が「首都直下地震の今後30年以内の発生確率を約70%」と高確率で評価している根拠は、この多重構造ゆえに地震の震源となり得るプレート境界面や断層が地下に密集している点にあります。