勝負は一瞬で決まる。言葉の連鎖を競い合う「しりとり」において、「え」の巡目は油断ならない罠であり、同時に絶好の攻撃チャンスでもある。多くのプレイヤーは「えだまめ」や「えび」といった無難な手札で急場をしのぎがちだ。しかし、それでは盤面を支配できない。相手の意表を突き、一撃で優位に立つためには、食の教養に裏打ちされた盲点グルメのストックが不可欠になる。
たとえば「エダムチーズ」。オランダ原産のこのハードチーズを繰り出せば、響きの知性で相手を圧倒できる。あるいは「エスカベッシュ」。地中海風の南蛮漬けとも言える魚料理の名を放てば、対戦相手は一瞬言葉を失うだろう。さらに、イタリア料理の定番である「エスプレッソ」や、トルコの伝統的な伸びるアイス「ドンドゥルマ」の別名文脈に潜む「エキメッキ(トルコのパン)」など、多国籍な語彙を織り交ぜる戦術は極めて有効だ。「ん」で終わる敗北リスクを回避しつつ、相手が思いつきもしない「え」の選択肢を突きつける。知識の深さはそのままゲームの支配力へと直結する。